2008年01月21日

観光信州への提言

観光信州への提言

昨年の報道でも話題となりましたが、日本一低い長野県の客室稼働率問題などに見られるように、長野オリンピック終了後危機的状況にある信州観光をいかにして立て直すかが長野県の急務の課題と言えますが、それに対する県の方針案が「『観光立県長野』再興計画[2008~2012](案)」として、この度長野県観光部より示されました(詳しくは長野県のホームページを参照下さい)。現在県は平成20年1月28日まで、それに対しての意見を募っています。


私からの提言をいくつかまとめて県に提言させていただきました。少し長いですがその全文を掲載いたします。


「観光立県長野」再興計画[2008~2012](案)に対する提言


 「観光立県長野」再興計画[2008~2012](案)全文を読ませていただきました。昨年の報道でも話題となりましたが、日本一低い長野県の客室稼働率問題などに見られるように、長野オリンピック終了後危機的状況にある信州観光をいかにして立て直すかが急務の課題と言えますが、それに対する県の方針が全体的に大変具体的で詳細かつ的確に記述されていると思います。その上で更により良い「再興計画」となるよう、誠に僭越ながら私からの提言をいくつか述べさせていただきたいと思います。


1,「信州観光立県宣言」の採択及び住民合意の醸成


 再興計画を決めるだけではなく、「信州観光立県宣言」を採択して県民一人一人がしっかりと長野県にとっての観光の重要性を認識すると同時に、県外に対しても長野県の観光への取り組みの真剣さを強くアピールするべきと考えます。
 長野県は従来から一大観光県といわれ、実際観光関連でもたらされる経済効果は、再興計画案の資料にも有る通り大変大きいものがあります。従ってその落ち込みの長野県に与える影響は多大です。しかし長野県内で直接観光に携わっている方は別として、それ以外の方にとってその危機感は余り無いのではないでしょうか。
 実は新年早々にこんな事が有りました。地元ローカルラジオ放送で、出演していた長野市のある有識者が「長野市の中心市街地の活性化に何が必要か」との司会者の問いに、「地元以外の人はいつ来てくれるか当てに出来ない、(計算できないということ?)だから地元以外の人はあてにしないで、地元の人に回数足を運んでもらう事を考えるべきだ」と発言していました。この意見は説得力を持つように思わせます。しかし全く間違っているとは言いませんが、私は本質的な解決策には成らないと考えます。と同時に有識者ですら長野県(長野市にとっても)における観光の重要性を充分に理解していない典型的な例のように感じました。確かに地元以外の方、特に昔ながらの観光客などは、十年に一回かひょっとしたら一生に一回の、それも大型観光バスに乗って善光寺裏からお参りしたらそそくさに去っていくという物見遊山的イメージが強いのでしょう。そんな虚ろな人たちを相手にするなということなのかもしれません。しかし今はバブルが弾けて以降、ネット社会の進展も相まって観光の主流は完全に団体旅行ではなくなって、個人または小グループ主体になっています。これは観光関係に携わる関係者が皆異口同音に指摘しているところです。個人や小グループ主体の観光客の行動とはどんなものでしょう。それは団体旅行と違って一般的には時間に余裕があり、旅先でのサプライズいわば‘未知との遭遇’を楽しみたいものでもあるのです。例えば思いがけないおいしい食事・お店・人との出会いなど、ガイドブックに載っていない掘り出し物・店を見つける楽しさなんていうのはその典型です。迎え入れる側としてはそういった需要を的確に捉えて、積極的に誘導する努力が絶対に必要です。先程の発言者はそこのところをわかっていない。それに地元だけでお金や人材を回していたらどんどん目減りするだけだと思います。
 グローバル化そして少子高齢化が進む現在、以前の様なただ単純作業の大工場を長野県に誘致することは、中国などに取って代わられた今は到底無理な話です。そういった状況下で「観光は貴重な県外の外貨を獲得するという意味で、今後伸ばせる可能性のある重要な輸出型産業の一つである」ということを県民一人一人がしっかり理解する必要があります。


2,顔の見える信州観光の展開


 これは各方面から指摘されていることだと思います。
①信州観光のイメージキャラクター(パ-ソン)を選定して、広告塔としての役割を発揮してもらいましょう。東国原宮崎県知事に充分対抗可能な切り札が絶対に必要だと考えます。
②信州観光に直接携わる多くの関係者の顔や名前・人柄が分かる様、各種PR物やホームページなどにプロフィールやコメント付きで登場してもらうようにしたら良いと考えます。実際に携わっている人の顔が見えるようになれば、観光客はより身近に感じて親近感を覚え、そのことでリピーターになったり、観光消費の財布の紐も緩めてくれるのではないかと思います。


3,信州観光関連の情報発信力の強化(フリーペーパーの発刊等)


 私たちNPO法人信州移住・ふるさと体験研究会は、昨年6月に「信州に住もう!2007」という信州へ移住や各種ふるさと体験を呼びかけるガイドブックを全国発売いたしました。一方昨年秋から冬にかけて県内の主だった観光地のホテル・旅館・ペンション等の宿泊施設や一部の日帰り温泉施設に任意でアンケートを実施し、信州への移住や各種ふるさと体験(田舎暮らしや農業体験等)に関心のある約70施設に先着順で約2700冊を提供し、それら施設の客室やロビーに常備していただきました。お陰様で大変好評を博し、上田市の別所温泉旅館組合では理事会決定で加盟全旅館の客室に常備していただいております。手前味噌ではありますが、この2700冊のガイドブックが1年間客室に置かれるとして、長野県の客室稼働率約26パーセント、平均一部屋で2人が見てくれるとして計算すると、年間延べ約51万人の宿泊客や来場者の目にとまり、さらにその人達が帰宅してから回りに広がる口コミのことを考えると、決して小さくはないと考えております。また関心があって常備していただいた施設ですが、すでに各種ふるさと体験(田舎暮らしや農業体験等)をプランに取り入れているところも有りますが、まだ大半の施設では未導入の様で、これを機会に導入に向けて検討を始めるところもいくつか出てきております。
 さらにそういった活動をする中で私が感じたことは、県内の主だった観光地のホテル・旅館・ペンション等の宿泊施設には、機構的に詳しく周辺を網羅して、観光客向けに紹介する仕組み(例えばフリーペーパー等)があまり整っていないということです。以前のように団体旅行が大半の時代はただ泊めるだけで良かったのでしょうが、現在のように急速に個人や小グループ化してしまって状況ではそうは行きません。先程1で述べたように個人や小グループ旅行は、団体旅行と違って一般的には時間に余裕があり、旅先でのサプライズいわば‘未知との遭遇’を楽しみたいものでもあるのです。ガイドブックに載っていない掘り出し物・店を見つける楽しさなどです。迎え入れる側としてはそういった需要を的確に捉えて、積極的に誘導する努力が絶対に必要です。ネットが盛んになっても現地では現地を一番よく知っている現地の人に聞くか、現地の情報が豊富に掲載されている観光客向けのフリーペーパーが有れば本当に便利だと思います。そのために県内4地区別か広域別で、日本語・英語・中国語・韓国語の観光情報を掲載した、観光客向けのフリーペーパー(ブック)の創刊を提案します。このためにスタッフを集めるのは大変ですが、情報の蓄積があって最も現地に詳しい県内各地にあるミニコミ誌(紙)や各情報誌(紙)に、この長野県観光の未曾有の危機を前に大同団結してもらい、ページをそれぞれに割り振って担当してもらって制作すれば過大な負担を削減することが出来ると思います。ただこの事業の立ち上げにはどうしてもある程度の資金とリスクを伴うので、その分は県で負担してもらう必要があると思います。またさらに現地での携帯によるリアルタイムの情報提供なども、研究する価値があると思います。


4,信州観光研究所(シンクタンク)の設置


 長野県の各工業試験場が長野県産業に果たしてきた役割について、その功績の大きさは誰もが認めるところだと思います。それと同じ発想に立って、長野県に取って将来を左右するとも考える重要な信州観光の研究所を、長野県直轄または第3セクター方式で作るべきと考えます。ただ財政危機の折、専従スタッフはごく少数にとどめ、県内始め各地の大学など教育機関や研究所・企業・団体と連携し、信州の観光に関係する課題に対しテーマと期限を決めて各種研究を進めるべき事、また研究の結果を速やかに具体化して、実際に生かすために、専任及び外部スタッフ指導員による指導体制の構築を提案します。


5,次代を担う地域の観光プロデューサー、ディレクター、コーディネーター、コンサルタント等の育成


 かつて長野県にスキー客を始め、多くの観光客が訪れた高度経済成長時代は、信州観光に関係した言わば色々な地域の観光プロデューサー、ディレクター、コーディネーター、コンサルタント等の役割を担う多くの人材がいました。詳しく言うと観光地を抱えた各自治体やホテル・旅館を始め交通機関・スキー場・土産物店など観光産業で豊富な資金が提供され、そこに多くの商売がらみの関係者が集まりました。広告会社・旅行代理店・デザイン事務所・建築会社・印刷会社・出版会社・銀行・ジャーナリスト・カメラマン等その肩書きは様々でしたが、それぞれ独自の県内外に亘る人脈やノウハウで信州観光情報の収集・提供や、色々提案・アドバイスすることでその課題解決に便宜を図り、長野県観光を黒子で支えてきた人達です。ところが長野オリンピック以降バブルが弾けた上急速な少子化により、スキー客を始めとする来県観光客の急激な落ち込みと、構造改革による各自治体の予算削減で、観光に関係する様々な業者に潤沢に資金が回らなくなってしまいました。そのため仕事が極端に細って否応なく市場から退場せざるを得なく成ったり、また高齢化で引退したりして、上記のような役割を果たす人材が減ってしまいました。更に現在観光客相手では計算が立たないと観光離れの風潮が広がっているなかで、次に続く若い人も余り育っていないように感じられます。これは信州観光にとって重大な問題です。観光に対する若い人の関心を高める努力と同時に、興味を持つ若い人を早くから経験とノウハウが豊富な指導者が指導する他、具体的な観光関連の仕事を予算も併せて積極的に与え、経験とノウハウ、人脈の形成を積ませるべきです。また特に団体客相手だった往時とすっかり様変わりしてしまった現在の観光を取り巻く環境に合った、新たな手法も若い力で早急に構築する必要に迫られてもいます。こういった取り組みは、先に述べた「信州観光研究所」の活動とリンクさせながら進めることで、大変効果が上がるのではないでしょうか。


6,行政の壁を越えた連携


 これは今回の「観光立県長野」再興計画[2008~2012](案)でも触れられていることですが、自治体や広域を越えた取り組みを積極的に行う必要があると考えます。その1例を紹介します。
大真田構想の提案
これは昨年11月、私のブログでも発表したことです。
http://shinshuijujimukyoku.naganoblog.jp/) そこから一部修正して引用いたします。
平成19年はNHK大河ドラマ風林火山のお蔭で、長野県内の特に関係の深い史跡などは大変にぎわったようです。で平成20年はどうかというと、オリンピック同様、例によってその反動から長野県内を訪れる県外観光客の、急激な落ち込みが予想されます。善光寺御開帳は平成21年4月、諏訪御柱祭りは平成22年とまだ少し日が空きます。
そこでと言うわけでもないのですが、丁度その落ち込み対策と言うことも兼ねて、かねがね私が思っていたことを提案させていただきます。それは、長野県内で真田氏と縁の深い上田市、旧真田町(現上田市)、旧松代町(現長野市)が連携した「大真田構想」です。現在はそれぞれ「真田祭り」を単独開催していますが、それぞれ単独でも良いと思うのですが、その間にはほとんど連携が感じられません。行政の区割りをまたぐというのがその大きな要因でしょうが、ひょっとしたら豊臣方の真田と徳川方の真田と言うことが一線を画しているのでしょうか。もしそうだとしたらそれは、今となってはもう意味のないことです。むしろ私が思うに豊臣と徳川に別れたのは、戦国時代を巧みに生き抜いた戦略家・バルカン武将真田昌幸が、周到に練って編み出した真田を残す為の秘策と理解していますので、真田氏誕生の地真田、二度までも徳川の大軍を撃退した上田の地、徳川の時代を生き抜いた松代の地をトータルに理解することが必要だと思います。何故なら明治維新の際、天下分け目の重大事に当たって全国の諸藩は倒幕か佐幕かで大変な混乱に陥りました。その時松代藩はいち早く信濃を倒幕側にまとめる、指導的役割を果たしたと聞いています。それは松代藩が佐久間象山など外国などの諸事情に通じていた、優秀な人材を擁していたと言うことが大きいのでしょうが、それ以外にもご先祖様がまったく同様の天下分け目の関ヶ原の時にどの様な行動を取ったか、と言うことも大きく左右しただろうと言うことも想像に難くないのです。何故なら松代藩以外にも関ヶ原の時に藩祖がどの様な行動を取ったかで明治維新の行動が決まったと思われる藩がかなり多いのです。長くなるのでいちいち列挙しませんが、明治維新は、言わば関ヶ原の趣意返しと言っていいほどの様相を呈していると私は思います。
松代藩の中に豊臣方であった真田昌幸・幸村の精神が脈々と流れていたからこそ、松代藩は率先して倒幕側に与したといって良い状況を考えれば、もっと上田市、旧真田町(現上田市)、旧松代町(現長野市)は真田氏繋がりで、連携を取って良いのではないでしょうか。具体的には協同の観光キャンペーンをやるとか、周遊コースを設定したり、スタンプラリーなども面白いのでは。何せ以前は地蔵峠を越えれば、また今は高速でほんの三区間、新幹線にいたってはほんの十数分だけの距離なのですから。
実はこの構想、松代と上田の関係者のまだごく一部の方ですがお話をして有ります。結構関心は持っていただけたように思います。場合によっては、これがうまくすすめばさらに拡げて、その昔一時期真田氏が統治していた群馬県の沼田市との連携も、面白いのではないでしょうか、と申し上げておきます。


7,誘客のための具体策例


①県民一人一人、企業・団体一社一社が観光大使
 ハガキ大作戦の実施  県民一人一人、企業・団体一社一社が観光大使のつもりで県外の知り合いに来県を呼びかけるハガキ(又はメール)を出す。そのための専用のハガキを県民に配布する。
② 個人や企業・団体の行事など(例えば結婚式、誕生祝いや金婚式、創立記念日、表彰式などの祝賀会、総会、展示会、見学会、勉強会、セミナーなど)を信州で開催する際、出来るだけそれに併せて観光もセットしようと呼びかけるキャンペーンを提案します。
③一人一日一接客運動
 県民一人一人が一日誰でも来県者と思われる人に優しく応対する運動
④信州への修学旅行地再訪運動の展開
 かつて信州へのスキー修学旅行が盛んだった時期がありますが、その時信州を訪れた人にその修学旅行地を再訪してもらおうという運動。その時お世話した宿泊施設関係者やスキー学校関係者との再会なども組み込む。同級会を兼ねて来てもらっても良いのでは。 以上


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Posted by 胃がん退職者 at 18:55│Comments(2)地域起こし
この記事へのコメント
今回のコメントには大変悩みました?そして何回も読み直しました、ノー天気な私でも何かのヒントにでもと考えたのですが難しいです。県外の私の考えの基本はリピーターとして長野に観光旅行できる条件?県内の私の考えの基本はリピーターになってもらえるようにするには何が必要不可欠か?この視点から考えてみました、その答えはマスコミを大いに抱き込む(テレビ東京の日帰り温泉観光やリーズナブルな一泊温泉の旅番組)に大大的に協力と資金提供がまず最初の行動と思います、まず長野を知ってもらうことですね、意外と知っているようで知らないことがたくさんありますよ、事実私もIターンを考えるまではあまり長野のことを知りませんでしたし間違った解釈が多々ありました。温泉と言えば群馬の草津か伊香保、伊豆半島の伊東、下田熱川等々でした。しかし、たとえば佐久穂町の近辺だけでも両手では足りないほどの温泉施設が揃っているんですから長野県内を細かく網羅してまとめてみたら群馬に負けない程有名になれると信じてます、これが第一歩の提案ですし私なりにはまだまだ提案したいことがたくさんあります、負けるな長野!知恵袋長野県、行動力の長野、そして人やさしい長野をうーんとマスコミを利用して知らせてほしいと思います。なんども書きますが県外から見ての長野は意外と
Posted by Iターンベン君 at 2008年01月25日 18:39
ごめんなさい?書き損じました。興奮のあまりに。県外から見た長野は意外と知らないことが多すぎます、知っていくとどんどんはまっていきます、とにかく長野の良さを知ってもらうことからスタートと思います。
Posted by Iターンベン君 at 2008年01月25日 18:45
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